ビジュアル・エンゲージメントはテクノロジーとして大きく発展しており、多くのカスタマーサービスを提供する企業にとって重要な差別化要素となりつつあります。導入後すぐに明確なROI(投資収益率)改善への寄与が実証されたことから、企業及びコンタクトセンターの経営陣は、デジタル環境での充実した顧客体験を提供するための重要な足がかりとして、ビジュアル・エンゲージメントに注目しています。
現在、ビジュアルサポートが多くのコンタクトセンターにおけるKPI (NPS、FCR、トラックロール)に劇的な効果をもたらすことが分かっています。これらの分野の改善は、顧客離れの食い止めと収益の改善につながることが証明されています。
この記事では、カスタマーサービスを提供するコンタクトセンターの主要なKPIに対するビジュアルエンゲージメントの効果について説明します。
ビジュアルエンゲージメントとは?
ビジュアル・エンゲージメントとは、お客様の現状を映像を通じて共有し、顧客と視覚的に対話することを指します。このエンゲージメントは拡張現実の領域も含まれます。これにより、カスタマーサービス担当者はテクニカル・サポート・セッション中に必要な対応を顧客に提示したり、請求書のトラブルを解明するなど、様々な場面で映像共有を活用できます。
ビジュアル・コミュニケーションの台頭
動画は日常生活にますます定着してきています。ミレニアル世代が消費者層として成長し、消費者行動への変化を促しているため、コミュニケーションを映像を用いて支援する需要が高まっています。そのため、あらゆる分野で活動する企業は、顧客と映像を通して関わることのできるソリューションを求めています。
その一例として、製品紹介動画の爆発的な増加が挙げられます。2014年にYouTubeは、製品の紹介動画の視聴数が1年で57%増加し、またアップロード数も50%以上増加したことで、年間10億回以上の視聴数を記録したと報告しています。Googleの消費者調査では、20%の消費者が購入した商品の「開封の儀」動画を視聴したことがあると報告しており、これらの統計を裏付けています。「開封の儀」のビデオの人気は今でも多くの注目を視聴者から集めています。
ビデオチュートリアル以外にも、他のビジュアルリソースへの需要は高いです。電子機器のセルフインストールのサポートに関する最近の消費者調査によると、回答者の71%が視覚的なガイダンスを選択しており、セルフインストールのための視覚的な指示をデジタルで受け取ることを好むことがわかりました。また、40%の人は、それらの指示をスマートフォンで直接受け取ることを好んでいました。このようなモバイルガイダンスへの需要は、ミレニアル世代の間ではさらに顕著です。
ビジュアル・エンゲージメントの成熟度
ビジュアルテクノロジーの人気と成功はネットワーク環境とネットワークデバイスの普及により推進されてきました。これらの技術的進歩により、ビジュアル・エンゲージメント・プラットフォームの商業的かつスケーラブルな展開への道が開かれました。
TechSee は洗練されたビジュアル・サポートソリューションのリーダーとして、ボーダフォン、サムスン、オレンジ、リバティ・グローバル、アクメアなど、世界の大企業のコンタクト・センターにビジュアル・サポートを導入してきました。
電気通信から家電、保険、公益事業と様々な業界での経験を基に、ベストプラクティスをまとめました。
ビジュアルエンゲージメントが重要なKPIを高める方法
本記事では、顧客サービスにおいてビジュアルエンゲージメントを導入したことで、大幅に改善した3つのKPIをご紹介します。
① NPS(ネットプロモータースコア)の向上
顧客満足度は解約率や顧客の生涯価値に影響を与えるため、非常に重要です。
NPSの向上が企業の収益に直接プラスの効果をもたらすことはよく知られています。コミュニケーションとサービスプロセスの改善による、顧客との関係を強化は顧客中心主義の現代においては最優先事項です。
コンタクトセンターにビジュアルサポートを導入することは、NPSを構成する各要素に大きな影響を与えます。
・顧客の負担軽減
・エージェントのエンゲージメント向上
・エージェントの知識強化
・解決率の改善
また、革新的なテクノロジーを提供することによる競争優位性の確立、顧客への複数対応チャネルの提供、エージェントの満足度の向上という付加価値も提供します。
② FCR(ファーストコンタクトレゾリューション)率の上昇
顧客が企業の対応に非常に敏感な現代において、FCR は新たな成功の基準として注目を集めています。
FCRは顧客サービスの質だけでなく、コンタクトセンターのオペレーション全体の効率性を測定するために使用されます。FCR率の低下はコスト、顧客の解約率、アップセルと生涯価値、顧客満足度、エージェントのロイヤルティに大きな影響を与えます。
コンタクトセンターにビジュアルサポートを導入することで、顧客体験を向上させ、収益性を向上させることができます。顧客の問題を速やかに解決することで、電話やエスカレーションの回数が減少し、オペレーションの節約につながります。また解約率の低下と顧客生涯価値の向上による収益の向上につながります。
③トラックロール削減によるファーストコール解決率の向上
費用のかかる、NFF(No-Fault-Found、機器故障していない状態) での技術者派遣の削減は多くの企業の主要な課題の一つです。
サービス産業では、コストのかかるトラックの移動は必要悪です。専門的なサービスや修理のために技術者の訪問が必要になることはよくありますが、派遣する度に大きな出費となり、問題を遠隔で解決する場合に比べて最大100倍のコストがかかります。
これだけ費用がかかることから、企業はトラックのロールに関するプロセス全体を最適化しなければなりません。そうしたコスト削減への対策としてビジュアルサポートは非常に有効なツールとなります。ビジュアルサポートを導入することで、技術的な問題を遠隔で解決し、派遣率を大幅に低下させることができます。
また、必要に応じて専門家と初心者の技術者の間でより良い遠隔指導が可能になり、結果として、効率性の指標を改善しながらより高いファーストコール解決率が得られます。
ビジュアル・エンゲージメントの価値
ビジュアルエンゲージメントは未来を形作るソリューションです。動画が私たちの生活に欠かせないものになっている中で、ビジュアルによるサポートは多くの価値をお客様に提供するでしょう。
原文:https://techsee.me/blog/how-will-visual-engagement-impact-your-contact-center-the-kpi-deep-dive/ “Visual Engagement: A Power Tool for Contact Centers” By Hagai Shaham on Feb 24, 2020